心見少年、音見少女。
二、ドキドキ能力調整
自重する者が殆どいなかった自己紹介が終わった後には、もう休み時間が終わろうとしていた。
「ところでさ、神崎、ここのクラスって授業どーすんの?」
斜め後ろでスマホを弄る火影に、佐月は尋ねる。
「火影で良いよー……どーって、どーいうこと?」
「いや、ほら、全員学年バラバラじゃん、普通のクラスみたいに行かないだろ」
「ああ、そーゆーことね、X組は殆んど自習形式なんだけど……」
火影が答えかけたとき、始業のチャイムが鳴った。
「ごめん、授業始まっちゃうからまた後で答える!」
火影は自分の指定席らしい水晶の隣の席に座った。
同じ様にガタガタと自分の席に移動する面々。
入ってきた間地先生への挨拶もそこそこに、授業は始まった。
「今日は、佐月が入ったからね。時間割を変更して、『能力調整』の授業やるよ~」
「のーりょくちょーせー?」
聞き慣れない四字熟語が耳に入ってきた。
「TPOに合わせて能力の強さを調整する訓練をする授業。
能力によっては便利なものもあるから、日常使うのもアリだからな。うまくコントロールできるようにするのだ」
独り事のつもりだったのだが、隣の席に来た日和が説明を入れた。