心見少年、音見少女。
「……全員行ったね」
カゴメが呟いた。
「よし、佐月、もう離していいぞ」
パッと手を離すと、もう日和はほとんど元のクールな表情に戻っていた。
「有難う、倉橋……」
間地先生が日和をの顔を覗き込み、様子を窺う。
「日和、大丈夫か?」
「はい……まだ雨音が少々煩いですが。……すみません」
「それは言わない約束だろ?今更気にするなよー」
なんだか内容がさっぱり飲み込めない。
やはりわかってないのは自分だけのようだ。
佐月は挙手をして答えを求めた。
「……間地先生、これはいったいどういう事なんですか?」
「ああ、ごめんごめん。説明不足だったな」
「岡野が『音が見える』能力を持ってるってのは聞いたんですけど……
さっき怖がってた理由とかが分かんなくて」
「なんだ、先程の私の説明でも分からないのか?お前の脳味噌は隙間だらけの綿飴で出来ているのか」
「……」
早い。
もう完全に復活してる。
本人はアレでしっかり伝えたつもりらしい。