心見少年、音見少女。

かなりイラッと来たが、またあんなことになったら可哀相だ。

それに、これが日和の通常運転なのかもしれない。佐月はぐっと堪えた。

「うーん、なんと言うか……口じゃ説明しにくいんだよな〜」

間地先生が腕を組んで困ったように首を傾げた。

「じゃあ、物理的に説明しちゃいますぅ?アタシやりますよー!」

後ろの方の席で、カゴメが挙手をした。

「おー、それが一番手っ取り早いな。カゴメ、頼む」

「らじゃりましたー★」

カゴメはその場でスチャっと敬礼する真似をしてから、両手を前に出し、人差し指と親指を立てた。

両手にピストルを持つジェスチャーのようだ。

そのまま左手の指先を日和の背中に、右手の指先を佐月の背中に向ける。

「?」

またもや意味が分からない。

「どーん!」

そして口で銃音を出しながら撃つ真似をした。

「??……なんですか?何も変わらないみたいですけど……」

自分の掌を見ても、身体には何も変化がない。
< 28 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop