心見少年、音見少女。
かなりイラッと来たが、またあんなことになったら可哀相だ。
それに、これが日和の通常運転なのかもしれない。佐月はぐっと堪えた。
「うーん、なんと言うか……口じゃ説明しにくいんだよな〜」
間地先生が腕を組んで困ったように首を傾げた。
「じゃあ、物理的に説明しちゃいますぅ?アタシやりますよー!」
後ろの方の席で、カゴメが挙手をした。
「おー、それが一番手っ取り早いな。カゴメ、頼む」
「らじゃりましたー★」
カゴメはその場でスチャっと敬礼する真似をしてから、両手を前に出し、人差し指と親指を立てた。
両手にピストルを持つジェスチャーのようだ。
そのまま左手の指先を日和の背中に、右手の指先を佐月の背中に向ける。
「?」
またもや意味が分からない。
「どーん!」
そして口で銃音を出しながら撃つ真似をした。
「??……なんですか?何も変わらないみたいですけど……」
自分の掌を見ても、身体には何も変化がない。