心見少年、音見少女。
身体じゃないなら、周りが変わったのか?そう思った佐月はキョロキョロと辺りを見渡してみた。
「……うわあああ?!」
天井を向いた途端、大きくて黒い塊が佐月目掛けて降ってきた。
やばい、ぶつかる!
咄嗟に頭を抱えて守るが、何も変化は無い。
「どーん!」
(……?……!?)
カゴメがもう一度銃音を言った時には、もう黒い塊何処にもは見えなくなっていた。
「な、何ですか今の……」
「これが日和の能力。今、佐月くんはカゴメの模倣(コピー)能力で一時的に日和と同じ能力を持ったんだ。
日和はいつもその景色を見てるんだよ」
藜がカゴメの隣で言った。
「え?じゃあ今の黒い塊は……」
「『音』だよ。」
「音?」
「正確には、オノマトペ……擬音語。音が実体化した物が物理的に見えるってわけ。漫画の背景に書かれてる効果音みたいにね。
さっき佐月くんはびっくりしすぎて見えなかったみたいだけど、『バチッ』っていうオノマトペだったんだよ」
「そんでもって、さっきの音出したのはあったしー!」
良美がひらひらと手を振った。
窓際の席の良美は、机の上に傷だらけの細い足を乗せてる。