心見少年、音見少女。
小学生なのになんでこんなに態度が悪いんだろう……
「あたしが雷音出したんだ!どー?すっげーだろ!」
良美が指をパチッと鳴らすと、小さな稲妻が天井から落ちた。
なるほど。この音がさっきの黒い塊になって俺に向かって落ちてきたのか。
佐月は納得して首を縦に振った。
「今のひよチャンのアレは、雨の音と廊下を通ったの生徒の騒ぎ声でいきなりオノマトペが出てきて、視界が真っ暗になって混乱しちゃったってワケ!」
ひよチャンというのは日和のことらしい。
最後はカゴメが上手くまとめた。
(岡野はいつもあんな景色を、見てるのか……)
煩い都会とかカラオケなんて行けないんだろうな、ましてやきっとイヤホンで音楽も聴けないんだ。
そう思うと、なんだか守ってあげたくなる。
大丈夫か声を掛けようとしたが、火影、木花、カゴメたちにの方が早く、言うタイミングを失ってしまった。
女子達に心配される中、日和は大丈夫だと答えていた。
呼吸も正常に戻っているし、顔色も良い。
落ち着いたようだ。良かった。
教室が少しざわついてきた時、間地先生は丸めたノートをペシペシと教壇に叩いた。
「つーわけで。日和が回復して、佐月が理由分かったところで、能力調整始めっぞー」
そう言うと間地先生は教室の隅に丸めて立て掛けてあった模造紙を出した。