心見少年、音見少女。

「さ、始めよう!」

間地先生が指をパチンと鳴らす音が教室に響いた後、

「はーっ!」

金の気合を入れる健気な声が聞こえた。

次の瞬間、教室が金色の光に包まれ―――






「……?うわっ!?」

約十秒後。

ゆっくりと目を開けると、そこは教室ではなかった。

目の前に広がる緑の壁、白いラインが引かれた床も壁と同じ緑。全体的に目に優しい色で、人工的に作られた様な場所。

運動場のようだ。

「ここは……」

「三日月学園内にある、X組専用の特殊な運動場ですよ!間地先生の能力で飛んだんです」

佐月はこのセリフで間地先生が能力者だったことを初めて知った。

まあ能力者クラスの担任なら持ってても不思議はないけど。

「君は確か、不破さんだっけ……んん?!」

木花の声がした後ろのほうを向くと、彼女は笑顔で白いライオンの背に乗っていた。


  グルルルル……


< 32 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop