心見少年、音見少女。
「さ、始めよう!」
間地先生が指をパチンと鳴らす音が教室に響いた後、
「はーっ!」
金の気合を入れる健気な声が聞こえた。
次の瞬間、教室が金色の光に包まれ―――
「……?うわっ!?」
約十秒後。
ゆっくりと目を開けると、そこは教室ではなかった。
目の前に広がる緑の壁、白いラインが引かれた床も壁と同じ緑。全体的に目に優しい色で、人工的に作られた様な場所。
運動場のようだ。
「ここは……」
「三日月学園内にある、X組専用の特殊な運動場ですよ!間地先生の能力で飛んだんです」
佐月はこのセリフで間地先生が能力者だったことを初めて知った。
まあ能力者クラスの担任なら持ってても不思議はないけど。
「君は確か、不破さんだっけ……んん?!」
木花の声がした後ろのほうを向くと、彼女は笑顔で白いライオンの背に乗っていた。
グルルルル……