心見少年、音見少女。
ライオンは喉を鳴らすと佐月の頬をベロンと舐めた。
「うわああああああ?!」
「落ち着いて下さい!自己紹介の時に言ってたでしょう、木花は動植物と会話が出来るって!」
ずざざざっと後に後ずさると、論土がいた。
「ろ、論土!なんでライオンが校内に居るんだよ?!」
「木花のもう一つの能力、『神化』です。
僕がアフリカから飛ばしてきたライオンに、木花の能力者としての力を加えたんです。彼女の指示がない限り噛んだりしませんから安心してください」
「……不破さんってもう覚醒してんの??」
「はい、半年くらい前に覚醒しました。 あと、私の事は木花で良いですよ、佐月先輩!
っていうか、このクラスは下の名前で呼び合って仲良くするのがルールなんです。だから、どんどん呼んでください!」
……あれ?岡野、いや、下の名前だから日和か。
日和はなんで俺のこと倉橋って苗字で呼んだ?
小首を傾げる佐月の返事を聞かず、ひたすらライオンの鬣を『よーしよしよし』とわしゃわしゃする木花。
……●ツゴロウさんか、おまえは!
「あれー?新しい人がいる!」
「新しい人がいる!」
「いる!」
……なんかまた増えてきた。