心見少年、音見少女。

正面入口からてこてこ歩きながら入ってきたのは、臙脂色のベレー帽が良く似合う三人の幼い女の子だった。

三人共鏡に写したようにそっくりな顔立ちをしている。三つ子らしい。

ハーフだろうか。濃い灰色のおかっぱ頭に、それぞれ青、緑、黄色の瞳をしている。

「あれ、遅かったね、那々(なな)、実々(みみ)、遊々(ゆゆ)。」

「「「藜兄〜!!」」」

藜が親しげに手を振ると、三つ子は走って藜の元へ来た。

「ちょっと調子悪くて保健室行ってた!」

「調子悪くて保健室行ってた!」

「行ってた!」

さっきから三人でエコーのように話してるが、打ち合わせでもしてるのか?

佐月はそう思いながら隣にいた金に聞く。

「あの三つ子、誰だ?」

「ああ、初等部一年の草壁(くさかべ)三姉妹です。
青い瞳が長女の那々ちゃん、緑が次女の実々ちゃんで、黄色が三女の遊々ちゃんです。」

「へー」

藜に沢山撫でてもらい、ぐしゃぐしゃ頭になった三つ子が、今度は佐月に興味を持ったらしく、駆けてきた。

「新しい人!お前の名前は何だ!」

「お前の名前は何だ!」

「何だ!」

那々、実々、遊々の順にエコーのように問いただす三つ子。
< 34 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop