心見少年、音見少女。
人差し指をビシッと突き出しながら、同じ顔がじっと佐月を興味津々に見つめる。
「人を指さすのは良くないぞ……
俺は倉橋 佐月。高等部一年。持ってる能力は人の心を読むこと。よろしく」
「くらはし さつき?じゃあ那々、佐月兄って呼ぶ!」
「じゃあ実々も、佐月兄って呼ぶ!」
「遊々も、佐月兄って呼ぶ!」
フッ、フッ、と三つ子の頭上に『喜』『嬉』『興味津々』『面白そう』の字が浮かぶ。
(ああ、『珠』を付けてないから見えるのか……)
満足した三つ子は、嬉しそうにまた藜の元へ走っていった。
「『見え』たのか?あいつらチビだから、『珠』はまだ付けてないんだ。付けても力が抑えられないからな」
突然、後ろから日和が声をかけた。
「!びっくりした、岡野……じゃなくて、下の名前で呼ばなきゃだから……日和、か」
「論土か木花にでも聞いたのか。別に何でも構わない。そのルールは絶対というわけではないからな。それより……コレ」
日和がスッと長い指のついた手を広げた。
翡翠色のビー玉のようなものが乗っている。翡翠色の中にも、様々な色が溶け込んでいて、見る角度によっては虹色にも見える。
宝石の様に美しい物だった。
「これ……『珠』か?」
「ああ、そろそろ能力調整が始まるから、先生から預かってきた。自分の好きな所につけておけ」