心見少年、音見少女。
「ちょっと、すいしょー!それはまだ言わないほうがいいんじゃない?」
訓練する手を止めてから、火影が入ってきた。
「あ……あぁせやな、日和のこともあるし……やめとこか。佐月くん、堪忍な、忘れたってや!」
「……?分かった」
「ケホッ……ゴホッ!」
那々が嘔吐する音が聞こえた。
「那々?!大丈夫か?!」
「安心しぃや、佐月君。毎度のこっちゃ」
駆け寄ろうとした佐月の肩を、水晶がやんわりと掴む。
「毎度のこと?」
「金が説明しとったやろ?那々は『石吐き病』や。よぅ見てみ」
よく見ると、涙目になりながら那々が吐いてるものは……
「宝石……?」
そのままアクセサリーに使えそうな、綺麗にカットされた青色の宝石だった。
少し、那々の瞳の色と似てる。
「……本当に宝石を吐くんだな」
「いつものことやから、那々自身もそんなに気にしてないんよ。こっちが見とるより苦しくないらしいから、そこまで心配する必要あらへんよ。
……まぁ、心配するん言うたら、やっぱ誘拐とかそういうもんやけどな」