心見少年、音見少女。
「『マキシマム・サンシャイン』!!」
火影や水晶が他の訓練をしている中、日和だけが攻撃の訓練を続けていた。
両手の中で形成された光の塊を、模造紙の中心に向けて思い切りぶつける、という動作をずっと繰り返している。
かなり強そうに見える技だが、さっきから模造紙が少し焦げるだけで、全く破れない。
「日和、大丈夫か?」
「……あぁ、佐月か。大丈夫だ」
額の汗を手の甲で拭いながら、日和は一旦手を止めた。
「私が使えるのは『光』系の技なんだが、どうにも火影や水晶と比べると攻撃力が無くてな……はあ……」
「へー……『光』か」
確かに、光は固体でも液体でもない、気体のようなものだから、攻撃力は元々無いのかもしれない。
「一回、遊々と宝石を使った連携技をやったときは上手く行ったが、やはり『固体』が無いと、難しい……
それにしても、いつでもどんな状況でも使えるように制服のままでやれと間地先生は言うが、流石に暑い……」
結構力を使うようで、日和は全身汗だくになりながらハンカチで首筋を拭いた。
薄っすらとワイシャツが透けて、透明感のある白い肌がうかがえる。
―――少し、艶っぽい。
「……」
火照る顔を抑えつつ、佐月は日和にかける言葉を探す。
「……攻撃ができるだけでも、俺は凄いと思うけどな」