心見少年、音見少女。
三、ハラハラな籠城戦?
「……先生」
「お?氷雨?どした?」
今まで黙って自主練をしていた氷雨が、真剣な顔つきで間地先生に歩み寄る。
「伝言です。本クラスの先生方から大事な話が……耳を貸してください」
間地先生が氷雨の身長に合わせて、体を屈める。
ゴニョゴニョと何か耳打ちした瞬間、間地先生の表情が変わった。
さっと顔が青くなる。
「―――そりゃヤバイな」
「他の方々は既に体制を整えてます……先生も、今からでも準備を」
「言われるまでも無いさ……やってやんよ!」
何か大変な事があったらしい。間地先生はすぐに『空間』の能力を発動させ、足元に魔法陣のようなものを出した。
「悪いが、今日の授業これで終わり!各自自習してもいいし、寮に帰ってもよし!ただし、その際は論土の能力を使わせてもらうこと!良いな?!
言った瞬間、先生の姿は消えた。
「……氷雨、何があった?」
「藜先輩……あのですね……」