心見少年、音見少女。

「……佐月くん、さーつーきーくーん!」

ゆっくりと目を開けると、水晶が視界に入った。

後ろには、壁に寄りかかって座ってる日和と火影もいる。

佐月は玄関に背を向ける形で座椅子に座らされていた。

向かって左に大きめの二段ベッド、右に机と椅子。奥の方の真ん中辺りに低いテーブルが置かれている簡素な部屋。

見覚えのない場所だったが、奥の壁に置かれた自分のかばんだけは知っているものだった。

「金がおらんかったからなぁ~、佐月くんには、ちーときつかったか」

「いや、大丈夫……え?金?」

「体育館に間地先生の『空間』の能力でワープしたとき、金が気合入れる声聞こえたでしょ?あれ、金が自分の『防御』の能力発動したからなの!今回は論土の『瞬間移動』の能力だけを使ったけどね」

火影が水晶のセリフに付け加えた。

「へー……なるほどね。で、ここは?」

「寮の、水晶と佐月の部屋だ。そこに今日だけ私と火影が泊まることになった。この状況じゃ、少人数での行動は危険極まりないからな」

日和が腕を組んで苦そうな顔をした。

「いちおー、言っとくけど、セクハラしないでよね!これは不可抗力なんだから!」

口元に拳を近づけ、下から目線でぶりっ子する火影。

俺、こーゆーの別にタイプじゃないし。そう思いながらジトッとした目を向ける。
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