心見少年、音見少女。
―――一年前―――
【以下、日和視点】
一年前。つまり、私(日和)と火影、水晶が中等部三年の時。
エスカレーター式に進級できるこの学園では、在校生は受験を気にする必要がなく、私達やX組の皆はそれなりに充実した日々を送っていた。
「ひよりーん!宿題やるの忘れたから見ーしてっ☆」
「断る。もうそれ今年で三十二回目だぞ」
「えー、じゃ、すいしょー!お願い!」
「無理ですよ火影さん。兄ちゃんも忘れてますから」
「スマン!僕も忘れとってん!」
「そ~なの、氷雨ちゃん?じゃ、二人であまみんに見してもらおっか!」
「なんで六歳も年下の小三女子に頼るんですか!あなた達中三でしょ!」
「ありゃ、ほかチャン、すいチャン、宿題忘れたの?アタシが教えたげよっか?」
「「お断りしますカゴメ先輩。教えてもどうせ間違ってるでしょうから。」」
「ひどっ!うわーん、藜サーン!」
「はいはい、ドンマイだよカゴメ」
「もういっそ観念して間地先生に怒られたほうが良いんじゃないですか?」