心見少年、音見少女。
―――回想終了―――
「……」
「その後、男からは電話も何もなく、何事もなかったように、二人だけが『消えた』んだ」
日和はそこで一旦話を区切り、ふぅと小さくため息をついてから続けた。
「天見の両親は本気で心配してたし、警察も捜査をしていたが、証拠も手がかりも無く、ニュースにも報道出来ず、あとはそれっきり―――だったんだが」
「ついさっき、怪しい研究者が入ったって情報が入った。これ、『どーいつはん』としか考えらんないよ!」
「火影、『同一犯』くらい漢字で書かんかい!」
どうにも、真剣な話のはずなのに火影が割り込むだけで笑いそうになってしまう。
佐月は不謹慎な笑いを無理矢理堪え、日和に一つ聞いた。
「なんとなく今が危ないのは分かった。で、その天見って娘は無事なのか?」
「……それすらも不明だ。もう生きているのかも……」
「……そっか」
日和と天見は仲が良かったことが、日和の表情を見ただけでわかる。
それくらい彼女は落ち込んでいた。
何か声をかけようとした時……