心見少年、音見少女。
ぴっ、と人差し指を佐月の鼻先に向け、水晶は何とも言えない表情で言い放った。
「……『ココロミ』……」
能力調整のときに、間地先生が言っていた言葉が、またやっとここで出た。
「それ、何なんだ?」
「漢字で書くと『心見』。そのまんま『心を見る』能力を持った人のことなんですけど……」
木花が、トントンと心臓のあたりを人差し指で叩いて示す。
「心を読んだり見たりする能力者の中でも、特別能力が強いとされてる人をを、『ココロミ』と呼ぶんです。ココロミは覚醒が早かったり、さっきみたいに写真からでも心が読めたり……血筋に関係無く、百年に一度くらいしか産まれないと言われています」
「百年に一度?!」
驚きのあまり、声が裏返りそうになる。
自分は、そんなに珍しい人材だったのか?いきなり言われても、普通に暮らしていた自分には実感がわかない。
「で、でも、何かの間違いじゃねーか?他にもいるだろ、心を読む人って……テレビとかでもたまにいるし」
「ココロミである証拠は、その左手にある」
日和が正座したまま、ズリズリと佐月の真横に移動してきた。
「え、左手?」
そして、パシッと佐月の左手首を掴み、掌にある六芒星型の痣を指す。
「この痣が、そうだ」
「これか?これは生まれつきついてるやつ……ココロミとは関係ないと思うけどな」