心見少年、音見少女。
我に返り、佐月は頬を引きつらせて火影に確認を求める。
「火影、冗談も程々にしとけよ?なんでそんな方法で……」
「いや、本当なんだよ佐月くん」
藜が真剣な表情で口を挟んだ。
「オトミとココロミは……なんて言うんだろ。織姫と彦星的な、アダムとイヴ的な、伝説っていうか、言い伝えで、昔からずっと、それが途絶えることはなかった」
「織姫と彦星つて……アダムとイヴって……って……」
「そ。一言で言うと、ココロミとオトミは絶対に夫婦になる運命なんだよ」
バヒュッ!
何かが高速で移動する音がした。
音がした方向を見ると、日和が火影の肩に捕まって震えてる。
さっきの話のことで、色々と耐えられなくなったらしい。
(オトミと……日和とキスをすると……能力が強く……)
ボンッ!
自分でも頬が急激に熱くなるのが分かった。
手の甲で額を抑え、覚まそうとするが、全然熱は引かない。
もしかしたら初めて会った時に、既に佐月の手の痣に気がついていて、あんな態度だったのかもしれない。