心見少年、音見少女。
そこだけ少し納得がいった。
「おーい、佐月くん、大丈夫かいな?顔真っ赤になっとるで?」
ニヤニヤ笑いながら水晶が冷やかした。
イラつくので取り敢えず無言で背中を引っぱたく。
「さ、佐月!安心しろ!私の初キスは通学途中に飛んでいた虫に既に奪われてるからな!」
「日和さん落ち着いてください!しかもそれ多分キスに入りませんよ!」
パニック状態で訳の分からない事を口走る日和を、木花が宥めた。
「と、に、か、く!」
場の空気を切り裂くように、藜がテーブルを叩いた。
部屋に集う全員が、動きを止めて藜に注目する。
「その話はもうおしまい。本題に戻そう?佐月くん、日和、いきなり話そっちに持ってってゴメン」
「あ、いえ、平気です」
「私も大丈夫です」
そうだった。今は不審な男との接触を避けるためにこうやって籠城戦のようなことをしていたんだった。
気は抜けない。
「佐月くん、写真からはどんな心が読めた?」
「あ、えっと……」
佐月がさっき見た『心』を藜に伝えると、彼は少し唸って頬杖をついた。