心見少年、音見少女。
「でも君らは……佐月くんと日和はちゃう。伝説とか関係無く、傍におれるうちにおった方がええ」
佐月は日和の顔を思い浮かべる。
一見無表情でクールに見えて、本当は感情表現が不得意で、『音を見る』のに怖がってるだけ……
きっと本当はもっと、綺麗に笑える娘だ。
オトミとココロミの関係だと言われた時、いや、もっと前から……彼女に惹かれていたのかも知れない。
ドッと、心臓を内側から叩かれるような衝動に駆られた。
「……そう、だな」
守ってあげたい。
好きとか恋だとかは、恋をしたことのない佐月には、ハッキリとは分からないが、ただ脆くて繊細な物を支えたいと思うような、そんな気持ちにさせられる。
もしかしたら、好き……かも、しれないという、あやふやな気持ち。
「護りたいのに護れない事ほど、悔しいものは無ぇからな……―――」
「え、水晶、今標準語―――」
いつもの中途半端なエセっぽい関西弁は?
と聞こうとした時には、もう水晶は静かに寝息を立てていた。
「……護りたい、ね……―――」
佐月も夢の世界へと誘われ、やっと重くなってきた瞼を閉じた。