心見少年、音見少女。
「ね、日和、まだ起きてる?」
「……んぁ、起き、てるが……」
「それ絶対寝てたよね?寝てたでしょ?!」
「まぁ仮に寝てたとしても、お前の声で目が覚めたが。用件は?」
でも聞かなくても大体分かる。
火影が『ひよりん』ではなく『日和』と呼ぶ時は、大方真剣な、真面目な話だ。
「いや……好き過ぎてツラいなって、思って……」
「まだ引きずってるのか軟弱者、もう戻ったんだから結果オーライというものだろ。それとも単なる惚気(ノロケ)か。このリア充が。ケッ」
日和がイラつきつつ言うが、最後の方は完全に非リア充の嫉妬だ。
「ノロケとか、そんなんじゃないよ!……あたしは全然良いの。もうすっかり復活したし……問題なのは水晶だよ」
ぷうっとほっぺを膨らませる火影。
たこ焼きみたいだ。
「もっと近くに来ても大丈夫なのに……ヘタレにも程があるでしょ。
日和は良いよね、佐月くんとはほぼ確定だもん」
「い、いや、伝説の通りとは限らないし……単なるプラシーボ効果だろう、伝説伝説言ってるからそう感じるのであってだな……」
「お説教みたいな言い訳は良いから!そう言いつつも、満更でもないんでしょ」
「……」