心見少年、音見少女。


「一緒にいられるだけ、良いと思うけどなー。あたしは羨ましい」

「……羨ましかろうがなかろうが、お前の勝手だろ。どこに羨む部分があるのかは知らないがな」

「違うよ、あたしみたいな周りが見えない馬鹿が羨ましがれるくらいなんだから、もっと素直になっても良いんじゃないのって言ってんの。人から羨ましがられるって、結構すごい事なんだよ?」

火影の言い分は珍しく筋が通ってる。

羨ましがられるということは、少なくともその人にどこか善所があるという事。

……自分の良い所とは、何処だろうか?

こんなコミュ症娘の何処に良い所があるのか。

それとも―――

「……余裕をもって流れに身を任せるのも一つの方法、という事なのか……」

自分では分からない所を見てる人もいるんだ、そういうのは周りに任せて胸を張れ、という事だろうか。

「ほ、火影、私……」

「Zzz……」

「おぉい!!寝るの早い!!火影ーっ?!」

もう火影は夢の中へと意識を飛ばしていた。

「……」

―――倉橋 佐月。くらはし さつき。

『ココロミ』で、心を読む優れた能力を持ち、『天』の覚醒能力を一日で発揮し、よく笑い、よく驚き、ちゃんと周りが見える男。
< 83 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop