心見少年、音見少女。
「……ちょっと待って」
藜が考え事をするようにこめかみに指を当てた。
段々藜の瞳の色素が薄くなり、銀色に変わり、魂が抜けたように生気が無くなる。
「?」
もう感覚が麻痺してきたのか、佐月は驚かない。
何が起こっているんだろうか?
「あ、そーか。藜センパイの能力」
良美が指を鳴らした。
「藜先輩の?」
「うん。『時』の能力。藜センパイは時間を操ったり、過去や未来をちょっとだけ見る事が出来んだ。過去を見るのは結構体力消耗するらしいから、疲れちゃってはっきり見えないらしいけどよ」
藜の瞳が元に戻り、生気と意識が現実に戻ってきた。
「っあー、頭痛てぇ……やっぱ酷使するもんじゃないな、この能力」
「で、何か見えた?カザ先輩!」
カゴメが急かす。
「……『シタラ未来科学研究所』」
眉間を抑えながら藜が口にしたその言葉に、全員が首を傾げる。
「藜先輩、何ですかそれ?」
木花が藜の制服の裾を引っ張る。
「その言葉だけ見えたんだ、ごめん、オレにも分かんない……」