心見少年、音見少女。
六、ドロドロ死者蘇生
中央に大きな装置が置かれた、ステージのように高い場所に、その男は立っていた。
普通の研究者のような風貌で騙されそうになるが、人を攫った犯罪者だ。
この男が、天見と氷雨をさらったかもしれない人なのか……?
間地先生は喧嘩を売るように仁王立ちですごむ。
「よぉ、一年ぶりになるな。氷雨と天見はどこだ?」
間地先生が言ったということは、一年前の男で間違いないのだろう。
「そう急かさないでください。それにあまり大声を出すと私の娘が驚いてしまう」
「娘〜?」
カゴメが首を傾げる。
「先ほどから姿が見えなくてね……はて、どうしたものか」
「そんなのどうでもええねん!氷雨はどこや!」
痺れを切らした水晶が喚く。
「ヒサメ?……あぁ、あの娘か」
微笑みを浮かべながら、こちらへ降りてくる男。
「その前に、自己紹介をさせてください。私は設楽 宙(したら ひろ)。ここで独自研究をしています」
設楽は恭しく頭を下げる。
上げた顔は、目が死んでるように光が無い。