心見少年、音見少女。
魂と身体の交換?
狂ってるのか、この男?
そんな事、出来るわけ……いや、不思議な能力や奇病があったこの世界だ。
絶対無いとは言えないのかしれない。
「死者の魂と生きた人間の身体を取り替えたという事か?」
有り得ないというように、藜が一歩前に出る。
それでも設楽は、表情を変えない。
むしろ自分がやっている事に酔っているようだ。
「画期的な方法だと思いませんか?
不必要な人間の身体と、必要だった死者の魂を使う……実に要領が良い。エコですね」
「ふざけんなや!!その話し方やと、氷雨と天見が要らない奴みたいに聞こえんぞ!!」
水晶の言う通りだ。
「不必要ではありませんか。私も下調べ無く人を使う訳ではありませんからね。多少は君達の事も知っています」
「え?」
まぁ、調べてないとX組の事も知る事は出来ないが。
このサイコパス野郎に自分の事がもう知られてるかもしれないと思うと恐ろしい。
「確か、関西弁の眼鏡の君は……時田 水晶(ときた すいしょう)くん、でしたよね?確か現在父子家庭で、仕事で忙しい父親に代わり、家事をこなしてる上アルバイトもしてるそうで」