心見少年、音見少女。

「ちょっとオジサン!ヒィちゃんが大事なのはあたしも同じだよ!!ヒィちゃんを必要としてるのはX組の皆……ううん、もっといっぱいいるの!!」

火影の嘆きを完全無視して、設楽は火影の顔をまじまじと見る。

完全に変質者のソレだ。

「……ふむ、君は水晶くんのお友達の、神崎 火影(かんざき ほかげ)さんかな?」

「そ、そうだけど……それが何?あたしが誰だって良いでしょ!何でもいいから天見とヒィちゃん返して!」

「……分かりました。それでは、一緒に来て頂けます?ただし、貴女一人で」

やけに聞き分け良く、設楽は火影に手を伸ばす。

「え?何?……返してくれるなら、行く、けど」

火影も疑う事なく、その手を取った。

せっかく返してくれると言っているのだから、こちらは下手に手を出せない。

皆は火影と設楽が一室に入るのを見送る事しか出来なかった。

「……おかしいよな。一年も返さなかったのに、今更あっさり返すか?普通」

藜が眉をひそめて首を捻る。



ダン!ガタンガタンガタン!ガシャン!


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