溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「食べる量と消費するエネルギーが比例しないって意味だね」
「……難しい言葉スラスラ言えますね」
ジェイドさんの方から話を逸らしてくれたので、なんとか助かった。
私も、通訳がいるとか独学だったと言っていたくせに、綺麗な日本語のジェイドさんに救われた、のに悪態をついてしまう。
私の小さな動きにも気付いてくれるジェイドさんは、上手に見ないふりをしてくれる。
私はそれに甘えて、結局食べるのを躊躇したパインを食べてしまうんだ。
ただ、思う。
つい甲斐を言葉に出してしまったのは、私の中でもう過去になりつつあるからだろうと。
結局目の前にある甘いものを、セーブできるわけもなく、私は美味しく全て平らげてしまった。
そんなものだ。
目の前で甘い言葉を囁かれたら、全て平らげたくなってしまうものなんだ。