溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「Jade・Bruford(ジェイド・ブラフォード)。日本に居る弟に会いに行く為に休暇中だが、普段は船の船長をしているんだ。今から君が乗る『セレブリティ・ジェード・プリンセス』の船長を、ね」
もう、さっきから怒涛のように色んな事が起こり過ぎていて、にわかに頭が信じられなかったのか脳が理解を拒否しているのか、私は涙が引っ込んだだけで言葉が出ない。
「可愛いでしょ? 俺がプリンセスみたいな名前で」
陽気に笑う彼に流されて、私はそのまま生まれて初めて乗るリムジンで息も忘れて圧し掛かって来る現実に気付いた。
「ぎゃああああああ」
パニックに陥った私が叫んでしまったのに、彼はにっこり笑ったままだった。