溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

後ろ頭を引き寄せられ、ジェイドさんの腕の中に捕われながら、なぞられた首の輪郭が熱かった。

ジェイドさんの唇の感触に、動悸が止まらない。

でも、酔っているジェイドさんが言おうとしている言葉の裏が、分からない。

「こんな感情、――今まで知らなかった。キミの香りが心から消えない」

声は甘いのに、様々な葛藤が感じられる眉間の皺が苦しそう。

その眉間に手を伸ばす。

「世界でたった一人しのサクラへの気持ちとは全く、違う」


この気持は――……。

何なんだろう。


声のボリュームが小さくなったかと思うとそのままフェードアウトしてしまった。

小さく吐息の様な寝息が部屋に響き渡る。
激しく高鳴る気持ちは不安で、ジェイドさんが言った言葉を舌の上で転がしても私には上手く理解できなかった。

酔っていない、寝ぼけていないジェイドさんは、この夜を覚えているのだろうか。

明日起きたら、ちゃんと教えてくれるといいのにな。

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