溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
朝起きて、すぐに洗面所へ向かう。
よく眠れなかったから顔は浮腫んで不細工だったけれど、泣き腫らしたのは分からないようで安心した。
そのまま顔を洗い、重たい気持ちでバルコニーへ向かうけど、彼の姿はもうとっくに無かった。
あったのは、ソファに置かれていた真新しいピンク色のワンピースと靴、
そして昨日着たワンピースが既にクリーニングされていた。
その服の上に、赤のタオルで作られていたのは、魚のアニマルタオル。
金魚みたいで可愛かったけど、彼が作ったんだろうとすぐに分かってしまった自分が嫌で、抱きしめてあげることは出来なかった。
服を着て、靴を履いて。
ケイリーさんには今までの御礼を電話で言って、食欲なんて沸くはずもなく朝食は断り荷物を纏めた。
そのままテーブルのアニマルタオルの横に、自分のハンカチを置いて指輪を外すと、キャリーケース片手に部屋を出た。
ゴロゴロと重たい荷物と足取りで。