溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「嘘だろ。そんなわけあるか」
「本当だってば。もういいでしょ? もう私は夢から覚めたいんだってば」
現実の、――会社での様々な噂を考えたら頭が痛くなるけれど、けれど、報われない恋にいつまでも身を沈めているよりはマシ。
「俺は、ジェイド船長がそんな風な人には見えないよ。7日間が嘘の婚約だったとしても、あんなに二人は楽しそうだったのに」
「もう良いってば」
笑ってありがとうって綺麗にお別れしたかった。
それなのに、そんな余裕もないぐらい心を掻き乱された。
これ以上、彼を困らせたくないし、顔を見たって――届かなかった思いが体中から燻って息も出来なくなって苦しいだけだ。
私と甲斐が言い争っているうちに、扉を叩く音は消えて、ジェイドさんの姿も居なくなっていた。
「ヘリに乗るなら今よ」
「お前、本当にもういいのか?」
「それ、私の心配? 会社の契約の心配で言ってない?」
「言ってないよ。――分かった。荷物纏めるから」
「本当だってば。もういいでしょ? もう私は夢から覚めたいんだってば」
現実の、――会社での様々な噂を考えたら頭が痛くなるけれど、けれど、報われない恋にいつまでも身を沈めているよりはマシ。
「俺は、ジェイド船長がそんな風な人には見えないよ。7日間が嘘の婚約だったとしても、あんなに二人は楽しそうだったのに」
「もう良いってば」
笑ってありがとうって綺麗にお別れしたかった。
それなのに、そんな余裕もないぐらい心を掻き乱された。
これ以上、彼を困らせたくないし、顔を見たって――届かなかった思いが体中から燻って息も出来なくなって苦しいだけだ。
私と甲斐が言い争っているうちに、扉を叩く音は消えて、ジェイドさんの姿も居なくなっていた。
「ヘリに乗るなら今よ」
「お前、本当にもういいのか?」
「それ、私の心配? 会社の契約の心配で言ってない?」
「言ってないよ。――分かった。荷物纏めるから」