溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

でも天は、二物を与えないのが現実。

「私なんかにそんな運命を感じていいんですか?」

こんなルックスなら、私じゃなくても頼めばもっと素敵な女性から、いや、女性達の方から殺到しそうだけれど。

「ああ。君は本当に自分に自信がないのだね。でも安心して良いよ」

くくっと一瞬だけ少年の様に彼は笑う。

「俺はどんな見た目でも、女性であれば大好きです」

そう、翡翠色の瞳で丁寧な日本語を使い、彼は爽やかに笑った。

ああ私、本当に男運が無さ過ぎる。


もう、簡単に人を好き人なんてならないし、

―――間違えてもこんな人は好きにならない。

これが恋であるはず、ない。
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