溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
未だに覚めない夢の中、魔法にかけられているようだった。
ジェイドさんが私の耳元で囁いたんだ。
初めてのキスを、ナホから捧げさせてしまった、と。
キミの初めてはこれからずっと、俺に奪わせてくれ。
そう言って、一緒にベットに沈んで、指を絡めた。
絡めた指に、ようやく指輪をはめるとジェイドさんはホッと息を吐いた。
啄む様な優しいキスで、心も体も溶かしてくれて。
初めての私が力が抜けるように優しい愛撫をくれた。
ジェイドさんの大きな背中に手を回して――きつく抱きしめた。
離れたくなくて、一つになったまま溶け合いたくて、強く強く抱きしめた。
その何倍も彼が抱きしめてくれるから、その痛みさえ此処と良くて私は笑う。
彼の瞳に私が映っている幸せを噛みしめながら。
何度も何度も甘いキスをしながら。