溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
振り向くと、本社入り口に黒のリムジンが止まっている。
急いで何人かが走ってそのリムジンのドアを開けていた。
「私たちも行きましょう」
上司に連れられて、私もドキドキしながらそちらへと向かう。
「初めまして。いきなりの訪問、失礼致します。こちらは、俺の一番信用している、相棒でもあるケイリ―。『セレブリティ・ジェード・プリンセス』の支配人です」
髪を後ろへピシリと固めて、黒のストライプのスーツを着こなしたジェイドさんが挨拶をしていたのは、出迎えた社長だった。
サングラスを外して、ポケットに入れにこやかに挨拶している。
ホールの社員たちも、只者ではないオーラを放つ外国人に興味深々なようで、視線をちくちくと感じた。
「初めまして。Mr.ブラフォード。私は今回のプロジェクトのリーダー、紀伊です」
上司がすかさず、物怖じせずにジェイドさんに挨拶する。