溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「7日間だけなら。でも、いつでも破棄してくれていいからね」

「ありがとう、姫。さあさあ中へ」

仕方なく手を取り、中へ入る。

ロマンチックのかけらもない私の言動にさえ彼は満足そう。
紳士だ。どんな女性あっても、私みたいな可愛くない女であっても、女性というカテゴリに所属していれば彼にとっては守るべき存在なんだわ。


「明日はショッピングをしよう。ディナー用の正装をしなければ君はずっとテイクアウトになってしまうよ」

「それでいいです。この部屋に居るだけでも十分幸せです」

テーブルの上に置かれていたテレビの番組を眺めると、来月、日本で翻訳されて上映される映画がいっぱい先に見れるようだし、お風呂はジャクジーで泡風呂みも出来るみたいだし。

「俺が、自慢の船を案内したいんだよ。拒否なんてさせない」

私の意見なんて最初から聞くつもりなかったのか!
じゃあ聞くなよ、と思いつつも何だが怒る気にもなれない。
悪気が全くなさそうなんだよね。嫌みがないというか。

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