溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「それは心強い。俺は独学だから日本語はあまり自信がないんだ。じゃあ、七日間、おかしい所や意味を間違えていたら教えて貰おうかな。通訳みたいに」
ワインを揺らし、優雅に香りを楽しみながらそう言われた。
だけど、私だって英語の日常会話はきっと早くて読みとれないと思う。
「保証はしませんけど、助けて貰ったお礼に少しでもなるならば」
「もちろん。でも、一緒に食事が取れるだけでも俺は幸せだけどね」
「はいはい、そうでございますか」
話半分で聞くぐらいが、いちいち驚いたり右往左往しなくていい丁度良い距離だと思う。
「えっと、ブラフォードさんておいくつなんですか?」
ワインが身体に浸透してきたのかふわふわと楽しい気分になる。甘くて飲みやすいけどもしかして度数が結構高いのかしら。
「31歳だ。だが、弟と歩いていると俺の方が弟に見られたりする。落ち着きがないとか」
「あー。分かる。分かります。ブラフォードさん、ちょっと軽いというか、話しかけやすい雰囲気ですもん」