溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「え、まじで?」
甲斐は、驚くと少し身体を起こした。
私は覚悟を決めたように、少し恥ずかしげに俯くと頷いた。
金曜の夜には毎週花火が打ち上げられる、ここ、ハワイのヒルトンホテル、32階スイートルーム。
夜景の下には、ホテル内にある人口の海がライトアップされているし、数メートル先には本物の海も見える。
高校の時からずっと片思いしていた今田 甲斐(いまだ かい)と、漸く恋人になって数日。分けあって私はこいつが元カノと行くはずだったこのホテルで、初めての夜を過ごそうとしていた。
甲斐は、高校の時からモテた。バスケ部部長で人懐っこく、笑顔が少しあどげない少年のようで大人気だった。同年代はもちろん、先輩後輩まで。
それに加えて、家は旅行会社経営のお金持ちのおぼっちゃま。
甲斐も大学を出てすぐに親の旅行会社に就職。この度、ハワイにある自社に配属されたのだったが、彼女についてきてほしいとプロポーズしたらものの見事に玉砕。