溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
優しく名前を呼ばれるのは、嫌いではない。
彼の優しいハスキーな声と、温かい手を差し述べられてしまえば、もう何だかお姫様になってしまった気分で、全て委ねてしまいそうだ。
バルコニーからは、少し下のデッキで海を見ている人たちが見えた。
そのざわめきから切り取られた静かなバルコニー。風も強くないし、揺れもほとんど感じられない。
「ナホ、今日は星が綺麗だよ」
「あはは。星ですか?」
「なんで笑う?」
不思議そうに首を傾げるジェイドさんには申し訳ないけど、さっき私は打ち上げられる花火を綺麗だと見ていた。
本当の夜空の方が、こんなに星が瞬いて猫の目の様に細い月に、朧気な雲が掛って美しいのに。
本質を見ないで、飾られた部分だけを見ていた。
ジェイドは、本質を見て綺麗だと言っている。
その純粋で嬉しくて笑いが込み上げてきたんだ。
私は、ずっと逃げて見て来なかったから。
どんなに相談に乗ったって、どんなに思ったって、甲斐の中心には彼女が居ることを私は見ないふりしていたこと。
彼の優しいハスキーな声と、温かい手を差し述べられてしまえば、もう何だかお姫様になってしまった気分で、全て委ねてしまいそうだ。
バルコニーからは、少し下のデッキで海を見ている人たちが見えた。
そのざわめきから切り取られた静かなバルコニー。風も強くないし、揺れもほとんど感じられない。
「ナホ、今日は星が綺麗だよ」
「あはは。星ですか?」
「なんで笑う?」
不思議そうに首を傾げるジェイドさんには申し訳ないけど、さっき私は打ち上げられる花火を綺麗だと見ていた。
本当の夜空の方が、こんなに星が瞬いて猫の目の様に細い月に、朧気な雲が掛って美しいのに。
本質を見ないで、飾られた部分だけを見ていた。
ジェイドは、本質を見て綺麗だと言っている。
その純粋で嬉しくて笑いが込み上げてきたんだ。
私は、ずっと逃げて見て来なかったから。
どんなに相談に乗ったって、どんなに思ったって、甲斐の中心には彼女が居ることを私は見ないふりしていたこと。