溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
両手で突き飛ばしたジェイドを見ると、上半身裸で気持ちよさそうに眠っている。
恐る恐る、視線を自分の体へ降ろしていくと、昨日のバスローブは何処にもなく、ワンピース丈のキャミソールのみしか身につけていなかった。
「おはよう。おいで、朝のぎゅっをしよう」
「意味が分かりませんから! それより起きて下さい! ちょっと!」
シーツを剥がすと、私の枕を代わりに抱き締めて丸まってジェイドさんは眠ろうとする。
往生際が悪過ぎる!
「ね、ねぇ、何か昨日の記憶が無いんですけど」
「それは、――あんなに激しかったら分からなくもなるだろう」
激しい?
何が?
寝相よね。きっと寝相だわ。
「昨日のナホは可愛かった。ついつい、俺も本気を出しそうになったよ」
枕から片目を覗かせて、ジェイドさんが熱い視線を向ける。
「頭痛い。まだ頭にお酒が残ってる。酷いわ。酔ってる私の初めてを奪うなんて」