溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~


「ふうん、やはりか」

「何?」

なんでいきなり、そんな事を言い出したんだろう。

「このハワイから日本へのクルーズは多分もうしない予定なんだ。だが、この一回切りだというのに、すぐに嗅ぎつけてきたそこの会社の人がツアーやら色々と提携を結びたがっている。この船は、信頼関係ある縁故ある方々しか乗せないから煩わしくてね。なかなか引かない」

あ、もしかして昨日もなかなか帰って来なかったのは、甲斐の会社との電話?

「俺はイギリスに本社があるクルーズ会社、カリビアン・セレブリティ・インターナショナルに所属している。うちの会社は世界一だとも自信があるが、――日本とのクルーズは寄港としてぐらいでちゃんとしたツアーやクルーズは何年に一回と契約も結んでいないケースばかりだ」

難しい顔をして、何だか深刻な話をしているけれど、
私には会社経営の話はさっぱりだからどんな意見が聞きたいんだろうか焦ってしまう。

事務なんて、お客様のツアースケジュールや飛行機、ホテルの入力とか、空き情報のまとめとかで、経営に関しては本当に素人なんだもん、私。

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