溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「社長が、キミのグループと結ぶと言うなら俺は従うしかないが、この船は俺の一存に任せてくれるとも言っている」
「つ、つまり?」
ハワイなんて日本人は年に何百万人も行くんだから、豪華客船のクルーズが始まれば確かに人気は出そうだけど。
ジェイドさんは何を迷って首を縦に振らないんだろう。
「女性を大切にしないトップがいる会社が、俺の船を大切にするかが怪しい」
「は?」
「思い出したくなかったらすまないが、キミを蔑にした男は確か、WKJグループのハワイ支社にいる、ご子息だったと思ってね」
何で、御曹司だってあの夜の一瞬でわかったんだろう?
一応、まだ甲斐は母親の旧姓を使って入社したはずだから、社員でも知らないはずなのに。
一応、取引先になるかもしれないからって偵察でもしてたのかな。
じゃあ、あの夜、もしかして甲斐の部屋を訪ねようとしていた?
ってか。
「それ、公私混同じゃないの? 甲斐はまだ会社にはノータッチだし、仕事とか出来るタイプだよ」
まさか、甲斐と私の関係のせいで、契約が結ばれないとなると流石に責任を感じてしまうんだけども。