溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「だが、女性を見る目がない人物が、仕事も出来るとは思えない」

一歩も譲れないと、ジェイドさんが眉毛を釣り上げた。
凛々しいその表情に思わず見とれてしまったものの、すぐにハッとして視線を落とす。

ベットで散々見てる――と言えば誤解が生じるが、いつも見ているジェイドさんの上半身が、泳いで濡れていて何だか更に色気を感じる。

あの厚い胸板に、引き締まった体に、褐色の肌に、心が持っていかれそうになる。

思いっきり首を振って、そんな眼で見てしまう自分を恥じる。

ジェイドさんは真剣に話をしているのに。

「聞いてる? ナホ」
「あ、ううん。うん。私は女性としてじゃなくて友人の延長線上だったのかもしれないし、彼女は喧嘩もするけど、いつも最後は彼女を選んでいたから大切にはしていたと思うよ」
なんで私は甲斐を庇ってるんだろう。
自分を振った相手をを庇うなんて、いや悪口なんて言いたくないけども。
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