溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

『甲斐、駄目。今、あんた酔っぱらってるから、ちゃんとした思考で考えてないよ、きっと』

『じゃあ、酔ってなかったらいいんだよな?』

腕に絡みつく甲斐の指に力が籠った。
その指先の力は痛いのに、ふりほどけなかった。
高校からずっと、甲斐だけを好きだった私は、恋の駆け引きなんて全く分からなくて。
こんな時にどんな対応が正しいのか分からず、ただ怖かった。
けど、私を選んでくれるんだと思うとすごく胸が締め付けられて幸せだった。


『明日、ハワイに飛び立つんだけど、そこで恋人になろう』

そう言われて私は、ただ泣きそうなみっともない顔で、唇を噛みしめるで頷くのがやっとだった。

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