溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

そんな事をうつらうつら考えていたらジェイドさんがやっぱり私の事が気になって早めに帰って来てくれた。
そして異変に気づいてくれて、倒れこむ私をシーツに包ませてくれた。

「38,6度って中途半端――」
せめて40度ぐらいまでいって最高に悪い様子だったら、私だって意識がもうろうとして何も考えずに眠れるのに。

ジェイドさんに何か食べたいかと聞かれたけど、首を振っただけで寝たふりをした私はきっとズルイ。
答えらるくせに、逃げてしまった。

「ナホ、医者がすぐに来てくれるそうだ」
「――ごめんなさい」
「謝ることじゃない。きっとずっと無理していたのに、昨日は買い物に引っ張り回したし、夜のプールで待ち合わせさせたし」
「違うよ。違う。違うから、そんなに優しくしないで」

馬鹿みたい。そんなに優しくされると、嘘の婚約指輪が重くなるんだ。
心に沈んで、身動きが取れなくなる。
取ろうとしても、重たく両手じゃきっと取れないの。

「ナホ?」
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