溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

ジェイドさんは短い間だったと思う。立ち尽くしていたけど、お医者さんが来て案内すると同時に出て行った。

私は風邪でもなく、きっと精神的な疲れから来る発熱だろうと言われて少しだけホッとした。

薬を飲んで、一時間ぐらい寝たぐらいだったかな。

ケイリ―さんが部屋の前までゼリーやヨーグルト、お粥まで運んでくれていたので、泣いて化粧も崩れた顔で申し訳ないけど中に入って貰った。
「あとは、食べたいものとかありますか?」
「いえ。ありがとうございます」
「船長は、少し昨日の仕事の件でまた連絡が入ってしまして、何でも私に言って下さいね」
「はい」

ちょっとだけ安心してしまった自分の頬を抓る。この馬鹿。

「どうしました?」
不思議そうにそう言われて、慌てて両手を顔の前で振った。
「あはは。いや、ちょっとホームシックです。最近、日本食食べてないから、お粥美味しいなーって」
 もっともらしい事を言いつつ誤魔化すと、ケイリ―さんは更に首を傾げた。
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