溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
「熱が出た時、日本ではお粥以外に何か食べますか?」
「あ――、うちの家は結構な田舎なんで、大根の蜂蜜とか甘酒とかも飲んでたかなー。あまり美味しくは無いのですが」
あはは、と誤魔化してお粥を口に入れる。
外国の豪華客船なのに、昆布出汁の効いた美味しいお粥だった。
「日本食のレストランも入っていますよ。早く良くなりまして行きましょうね」
「はい」
優しいケイリ―さんの言葉に、ただただ頷くだけで精いっぱいだった私は、
入り口で小さく扉が閉まったことに、気付かなかった。