溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~
夜、私の願望通り熱が39度を超えた。
まどろむ意識の中、なんだ私だって思ったように世界は進んでくれるんだって安心した。
熱で頭をやられているだけとも言えるけど、私の願いや思いなんてまるで届かなかったように感じて。
診察が終わってからもジェイドさんは帰って来なかったから、私が一人にして欲しいって気持ちを尊重してくれたんだと思う。
でも、次はこんな広い部屋で一人は心細くて、何だか寂しく感じた。
この世界に私一人しかいないから、だから世界が私の思うどおりに進むんだと、悲しくて笑ってしまった。
眠ろう。
明日はちゃんと笑ってごめんねって言おう。
努力も、我儘も言わずに、私はただ片思いしていた。
思いを伝えなくても、ただ近くで傍に入れるだけで何も望まなかった。
ただ、相手が何か言ってくれるのをずっと待ってて、受け身で。
それで可愛くないんだから、誰からも見つけて貰えるわけなかった。
それだったら、ウエデイングドレスで現れた彼女の方が行動力もあって素敵だと思う。