溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~


ハワイに着いて仕事場へ顔を出したりして慌ただしく一日が過ぎて、二人でバルコニーから花火を見て楽しんだのは、一時間もないぐらいだった。
「ねえ、海に停まってるあの客船って、ハワイ一周するいつもの船じゃないよね?」

甲斐の旅行会社が提携している船は大体知っているが、見たこともない豪華客船に首を傾げる。

「ああ、あれは異例中の異例。不定期便で、今から日本まで7日間かけてクルーズするんだってさ」

「日本からハワイまでの航路って廃止されなかった?」

「ああ。だから、異例。噂じゃすっげVIP客しか乗ってないってさ」

どうやら日本一の旅行会社の御曹司さえ中を知らないらしい。
ということは、提携してないんだ。
どんな豪華客船なのか、夜では外装がよく見えないのが悔しい。

「てかさ、船ばっか見るなよ」
ふわりと後ろから抱き締められて、――此処に来た目的を思い出してしまう。

ぴりぴり、する。全身が、触れた所が。

いざベットへというところで私は正直に言わなければイケナイことがあった。

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