大阪セカンドシンデレラ
いつものベンチに座って、智君と一緒に通天閣を眺める。
「智君が入院した事をお母さんが教えてくれて、ホンマ悲しかった。でも、絶対また会えると思ってた。」
「僕も。」
「あべのハルカスの日時指定券…。ありがとう。」
「ゴメンな、勝手な事して。」
「ううん、ゆかちゃんから受け取って中身を見た時、嬉しくて体中が震えてん。ゆかちゃんの店までわざわざ行った事、私の幸せを願ってくれた事。」
「なんか、直接渡すのが恥ずかしくて。ゆかちゃんエエ人やからお願い出来ると思って。」
「私ね。」
少し言葉を詰まらせる。
「実は、智君に謝らなあかん事があるねん。」
「何?」
「あべのハルカス…。昇らなかってん。」
「そっか。」
「怒らへんの?」
「怒らんよ。だって僕が勝手に美紀ちゃんと新太郎さんにチケット渡しただけやもん。」
「新太郎さんと知り合いやったんやね。」
「うん。新太郎さん、エエ人やから、すぐ仲良くなれた。」