大阪セカンドシンデレラ
日が傾き始め、赤みかかった空の下を、智君の車椅子をゆっくり押していた。
少し散歩したいと言った智君はただただ空を遠い目をして眺めている。
「そういえば、智君。私ね、絵画コンテストで金賞とってん。」
「へぇ、めちゃ凄いやん。」
「もう、通知見てびっくりして。まさか、って思たわ。」
「美紀ちゃん、絵上手いから。」
「それも、金賞やで、金賞。しかもな、副賞でデジカメ貰えるねん。」
「そりゃ、凄いなぁ。」
ますます赤くなった空をカラスが鳴きながら飛んでいる。
「みんなで写真、撮りたいなぁ。」
相変わらず空を眺めながら、智君は呟く。
「そうや。」
「美紀ちゃん、どうしたん?」
「退院してからゆかちゃんに会ってないやろ?」
「うん。」
「また、ゆかちゃんの店行こうや。3人で通天閣バックにして写真撮ろうや。」
私の問いかけにも反応せず空を眺める智君。