大阪セカンドシンデレラ
「あんたな、うちも19やで。恋の1つや2つや5つ、ナンボでもして来たわ。」
「へぇ~。もう長い付き合いやけど、ゆかちゃんのコイバナって聞いた事無いなぁ~。」
「聞いて来んかったやん。」
「なぁ、どんな恋して来たん?」
私の問いかけに、たこ焼きを回す手を止めると、カウンター越しに目線を合わせてニヤリと笑ってきた。
「あれは物凄い寒い日やった。アタシが1人で佇んでいたら、1人のイケメンが近寄って来てん。お嬢さん、お1人ですかって?」
「へぇ~。」
「はい…、って弱々しく答えたら、こんな寒い所では風邪を引いてしまう。これをどうぞって肩にコート掛けてくれてん。何て優しいのだろう、って思って、少し頬を赤らめてん。そしたら何をしているのですか?と聞かれてん。」
「ほうほう。」
「で、アタシは恥ずかしそうにしながら言ってん。」
「何て言ったん?」
本当に恥ずかしそうにするゆかちゃんに興味を抱く。
ゆかちゃんはモジモジしながら教えてくれた。
「…マッチを売っているのです。このマッチが売れないと家に帰れないんです。そうしたらそのイケメンが、なんて可哀想な。俺がマッチ全て買い取りましょうと言ってくれてん。そして、結ばれた訳や。」
「…。」
興味持って話を聞いて損した。